イオン導入

美容について知識がある方ならイオン導入という美容法をご存知かと思います。イオン、つまりプラスの電気を帯びた陽イオンやマイナスの電気を帯びた陰イオンを利用して、通常肌に化粧水を付けた時よりも高い効果を出すものです。

化粧水や美容液は今や数えられないくらい多くありますが、どんなものでも美容を目指すためには配合している成分が肌に浸透して作用しなければなりません。イオン導入ではその成分の浸透の部分を補助する役割を持ちます。

イオン導入が美容にとって効果的というのはなんとなく理解できますが、具体的にどのような仕組みで美容の効果をもたらすのでしょうか。ここでは改善のためにイオン導入が効果的な症状や、どのような成分がこれに向いているのかなどをご紹介します。

 

なぜ美容成分を肌の奥にまで届ける必要がある?

成分 浸透しない

簡単に言うと、成分が肌奥まで浸透しないと適切に美容に作用しないからです。例えばコラーゲンやヒアルロン酸と言った成分は分子が大きく、本来これらがある肌奥の真皮層まで化粧品で届けることはできません。

当然これらの成分が適切なところまで届かないと美容の働きをせず、無駄に成分を消費したことになってしまいます。コラーゲンやヒアルロン酸だけでなく、エラスチン、ビタミンC、トラネキサム酸、IGF-1などの成長因子成分も同じです。

肌表面の角質層に作用する成分ならばわざわざイオン導入を使用しなくても浸透するものも多いですが、上記の成分は表皮または真皮で作用するものでイオン導入を使用して適切な場所に届いて初めてシワやたるみの改善に作用します。

 

肌にも電気が流れている

電流 肌 イオン導入

イオン導入について理解する上でヒトの肌におけるイオン(電気)の役割を理解は欠かせません。ご存知のように私達の身体にも200マイクロアンペアほどの非常に微弱な電気が流れており、ターンオーバー(肌の新陳代謝)などに大きく関係しています。

例えば電気風呂、電気治療で身体が楽になるのは数百ボルトの電圧をかけて体内の電気の流れ(生体電流)がより活発になり基礎代謝が良くなるからです。要は体に流れている電気を利用したもので、イオン導入も同じ仕組みです。

 

肌のイオン

肌 イオン導入 陽イオン

では肌のイオンはどのようになっているのでしょうか。肌表面の表皮層は上から順に角質層、(透明層)、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、基底層に分類されます。このうち角質層と顆粒層はそれぞれ陽イオン、陰イオンと別々になっています。

陽イオンが多く存在する角質層と、陰イオンが多くある顆粒層でプラスとマイナスがお互いに引き合い、交わることでここに微弱な電流が発生し、この電流がバリアの膜(※タイトジャンクション、SG2層)となり外部からの異物の侵入を防ぎます。

ここでいう異物とは細菌はもちろん、ビタミンCやヒアルロン酸NA2などの美容成分も指します。実は美容成分の分子が小さいと必ず肌に浸透するわけではなく、その電流バリアも通過しなければ顆粒層よりも奥には浸透しにくくなります。

したがって、美容成分を肌内部に届けるためには電流バリアをクリアしなければなりません。これをクリアするためにイオン導入で新たにイオンを送り込み、一時的にバリアを解放し成分を浸透させます。

 

バリアの解放と成分の押し込み

 

繰り返しになりますが、美容成分と肌の奥まで届けるためには電流バリアを解放する必要があります。もちろんこれはバリアの膜を永久的に開放するのではなく、美容成分を浸透させるその一瞬だけの話です。

角質層の陽イオンと顆粒層の陰イオンによるお互いの引き合いによってできた膜を解放するために、イオン導入機で微弱な電気を流し電流を分散させて一時的にこのバリアを解放します。ただし、これだけでは成分を浸透させるのには不十分です。

 

イオンによる成分の押し込み

イオン導入 マイナス

イオン導入が優れている点は、バリアの解放をしつつ美容成分の分子が持つイオンを利用してこれを肌奥に押し込むところです。私達が普段お世話になっている美容成分の分子の中には、陽イオンか陰イオンを帯びているものがあります。

例えば、美容で幅広く活躍するビタミンC誘導体はマイナスのイオンを帯びています。ビタミンC誘導体を付けた肌の上からイオン導入機でマイナスイオンを放出すると、電気はその性質上同じ電極は反発し合いますのでビタミンCが肌の奥に送り込まれます。

あるいは家庭用の美顔器の中には、肌に接する部分(ヘッド)からはマイナスイオンを放出し、手に持つハンドクリップの部分からプラスイオンを出すことで身体の内側を陽イオン寄りにして、マイナスイオンを持つ成分を肌の奥に引き寄せるものもあります。

 

どんな美容成分でもイオン導入できるのか

イオン導入 適した成分

イオン導入でバリアの解放と成分を押し込んで届けることができるとわかりました。では、イオン導入を利用すればどんな化粧品の成分でも肌の奥まで浸透させることができるのかというと、実はそうではありません。

イオン導入で活用できる成分は水に溶けやすい性質つまり水溶性の成分であることと、成分の分子がもともと肌に通る大きさのものでなければなりません。なので冒頭で挙げた通常のヒアルロン酸やコラーゲンはイオン導入に適していません。

  • 適した成分:ビタミンC誘導体、プラセンタ、グリシルグリシン、トラネキサム酸、アミノ酸、成長因子…等
  • 適していない成分:コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン…等

 

ビタミンC誘導体

クリニックやエステでイオン導入をする際はほとんどの場合ビタミンC誘導体を使用します。ビタミンC誘導体はそれだけでも肌の奥にまで浸透して高い美容効果をもたらしてくれますが、イオン導入をすることで格段に効果がアップします。

ビタミンCは真皮でコラーゲンやヒアルロン酸を生成している線維芽細胞を刺激してそれの生成を促しシワやたるみを改善したり、肌にできてしまったシミを無色化するなど美容から治療まで幅広く活躍する優秀な成分です。

 

プラセンタ

プラセンタ自体に今紹介したビタミンCやミネラル、SODなどを含んでおり線維芽細胞の増殖促す役割があったり、ターンオーバーで重要になる表皮細胞の生成を促す性質があり、ビタミンC誘導体と同様、非常に美容効果の高い成分です。

さらにはニキビなどの炎症を抑える抗炎症作用や身体の老化を進める活性酸素を除去する作用、表皮細胞生成によるターンオーバーの促進作用も持つので、イオン導入時の成分としてはよく利用されます。

 

グリシルグリシン

グリシルグリシンはアミノ酸の一種で、主に毛穴の開きの改善で活躍する成分です。毛穴の開きの原因の一つに不飽和脂肪酸を含んだ角栓が過剰にでき、これにより穴を広げられてしまうことが挙げられ、グリシルグリシンはその広がりを抑制してくれます。

実はグリシルグリシン自体は非常に分子が大きいものなので化粧品ではあまり馴染みがありませんが、美容外科やエステで使用されるグリシルグリシンは低分子化して導入可能なものになっており、浸透して毛穴の引き締めに作用します。

 

トラネキサム酸

CO2フラクショナルやQスイッチレーザーでのシミ後のイオン導入ではほぼ必ず使用されるのがトラネキサム酸です。トラネキサム酸はもともと止血剤としての効果があり、理由ははっきりとしていませんがシミの原因であるメラニンを抑制する作用も持っています。

シミの中でも大変厄介な肝斑にも有効で、イオン導入だけでなく内服薬としても使用されています。ただし内服の場合は止血剤としての作用を持っているためめまいや吐き気などの副作用が稀に起こるようです。イオン導入では特に副作用は心配いりません。

 

アミノ酸

肌にハリや弾力を与える成分として有名なコラーゲンは生成されてから時間が経過すると古くなりその機能が弱まります。機能が弱まったコラーゲンはそのまま放置せずに分解する必要があり、線維芽細胞という細胞がこれを分解し、新たにコラーゲンを生成します。

コラーゲンとはタンパク質であり、すなわちアミノ酸集合体なので、新たなコラーゲンの生成のためには新鮮なアミノ酸が欠かせません。イオン導入でアミノ酸を補うことにより新鮮なコラーゲンが生成され、肌のハリや弾力を保ちます。

 

成長因子

成長因子には線維芽細胞に刺激を与えてコラーゲン、ヒアルロン酸の生成を促すものやターンオーバーを促進させるものなど様々あります。つまり肌の代謝を活性化させて美容効果を出す成分です。

美容目的のみのイオン導入で使用することもありますが、成長因子はCO2フラクショナルなどの肌の治癒を伴う施術後に使用することが多いです。なのでレーザー治療なしで成長因子のみのイオン導入はあまり見かけません。

 

コラーゲンやヒアルロン酸など

これらは分子が大きくイオンど導入に向かいない成分ですが、取り扱がある院もあります。そのようなケースではコラーゲンやヒアルロン酸を低分子化・ナノ化したものを採用しているため、イオン導入で肌に浸透し効果が得られます。

コラーゲン、ヒアルロン酸はご存知の通り肌のハリや弾力に関係しており、これが減少するとたるみ・シワの原因になります。化粧水やパックなどではなかなか補充が難しい成分なので、取り扱いがある院で一度受けてみても良いでしょう。

 

イオン導入と相性抜群なビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体 イオン導入

イオン導入で使用する成分と言えばこれと言うくらいに定番なのがビタミンC誘導体です。ビタミンC、ビタミンC誘導体、アスコルビン酸、アプレシエ(APPS)、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naなど呼び方は色々ですが、どれも同じビタミンC誘導体と考えてください。

先ほども言った通りビタミンC誘導体はマイナスイオンを帯びており、肌に塗った直後に上からマイナスイオンを当てることで反発しあいこの成分が肌の奥へと押し込められます。もちろんこの時角質層下の電流バリアは一時的に外れた状態です。

 

ビタミンC誘導体 メラニン

ビタミンCは前述のように、メラニン色素の生成を予防しつつ既存のメラニンを無色化するといったシミへの効果や、ビタミンC自体が抗酸化物質であるためニキビ等の炎症の広がりを抑えてそれを消す抗酸化作用、消炎作用があります。

さらに抗酸化つながりで言うと身体の老化の原因になる活性酸素を除去するためアンチエイジングの効果があります。保湿に関する作用ではコラーゲンやヒアルロン酸を生成する線維芽細胞を刺激してそれらの生成を促進させ、シワやたるみの改善に作用します。

ビタミンC誘導体一つでこれだけの効果があり申し分ないのですが、欠点をいうとビタミンC自体のpHが低く酸性で、肌に浸透した時にこれの刺激を受けて湿疹ができたり赤くなったりすることがあります。

ビタミンC誘導体はそのような刺激が抑えられた成分ですが敏感肌の方、乾燥肌の方はこれの使用で肌に負担になることがあります。そのためイオン導入でビタミンCを利用する際は事前のカウンセリングなどでしっかりとその旨を伝えておきましょう。

 

ビタミンC誘導体はイオン導入を使用しなくてもお肌奥の真皮層まで届きます。しかしイオン導入をすれば格段効果がアップしますので、イオン導入でどの成分が良いのか迷った時はとりあえずビタミンC誘導体を選択しておけば問題ありません。

 

毛穴やニキビ跡にも効果があるのか

ニキビ跡 凹

例えばニキビ跡のクレータの場合真皮層や表皮層の形が崩れてしまっていることが原因ですので、イオン導入によって真皮の線維芽細胞を刺激しコラーゲン、ヒアルロン酸を生成すればある程度凸凹はましになるでしょう。

またニキビ跡のシミ(炎症性色素沈着)は通常のシミと同様メラニン色素の集中がその原因になっていますので、ビタミンC誘導体などをイオン導入すればそれを無色化できるため、一定の効果があると言えます。

その他のレーザー治療と併用するのが望ましい

たしかにイオン導入で成分を奥深くまで届けてニキビ跡を改善することも可能ですが、残念ながらかなり綺麗に治るとは言えません。ニキビのような炎症の跡(特にクレーター)を治療するにはレーザー治療が最も有効です。

例えば皮膚に非常に小さな穴を開け肌がその部分を再生しようとする治癒能力に期待するCO2フラクショナルによる治療では、レーザー照射後に成長因子などをイオン導入することによってより効果的に治すことができます。

つまりイオン導入だけで治すのではなくレーザー治療後にこれを併用するのが適切です。

イオン導入がおススメの美容外科

湘南美容外科クリニック(皮膚科)

イオン導入 美容外科

施術名 イオン導入
施術の種類 エレクトロポレーション
オペラ
スプリング
料金 トラネキサム酸:1回6,070円~
ビタミンC誘導体:1回5,670円~
展開地域 北海道、宮城、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、静岡、大阪、京都、兵庫、広島、岡山、福岡、沖縄
効果 シミ・しわ・くすみの改善、美肌効果
効果の度合い
湘南美容外科クリニック(皮膚科)|公式サイト

家庭用のイオン導入美顔器を使用する際

家庭用イオン導入

最近は美容外科やエステに行かなくても自宅でイオン導入ができるようにと家庭用のイオン導入美顔器が販売されています。中には超音波や振動がプラスされているものもありますが、イオン導入の仕組みに関してはこれまでと同じです。

イオン導入自体に強いエネルギーが必要ないので家庭用の美顔器としても取り扱えるのですが、(その比較データを示す資料がないものの)やはり医療用やエステサロンで使用されるイオン導入機の方が効果は高いようです。

だからと言って家庭用のイオン導入機が全く効果がないわけではなく、通常化粧水を肌に付けた時よりも高い効果を得られるでしょう。何よりも院やお店に通うよりも安く済み、手間も時間もかけずに利用できるのが大きなポイントです。

 

手持ちの化粧水で効果があるか

化粧水

では家庭用イオン導入機を手に入れ、手持ちの化粧水を塗りその上からイオン導入機を使用しても良いのかと言うと、これはいけません。なぜならイオン導入するためには成分がイオンを帯びていなければならず、また導入液の純度も高くなければならないからです。

例えば手持ちの化粧水にイソフラボンが配合されており、これをイオン導入しようとしてもイソフラボンは電気を帯びていないのでイオン導入には適しませんし、天然のイソフラボンでは分子が大きすぎて肌に浸透しません。

また、仮にビタミンC誘導体配合の化粧水でイオン導入するにしても、これ以外の成分までも浸透してしまうと肌への負担になりかねません。なので市販の化粧水ではほとんど効果はなく、イオン導入の際はそれ専用のものを使いましょう。

 

手作りイオン導入専用化粧水でもOK

手作り化粧水

家庭用イオン導入機を購入すると常にそれ専用のものを買わなければならないのですが、実は適切なものであれば手作りの化粧水でも問題ありません。ここではイオン導入専用ビタミンC誘導体化粧水の作り方をご紹介します。

 

用意するもの
  • ビタミンC誘導体パウダー、精製水、グリセリン、容器(100ml以下のもの)

 

作り方
  1. 容器に精製水を50ml入れます
  2. ビタミンC誘導体パウダー1.5gを入れます
  3. グリセリンを3~5cc入れます
  4. フタを閉めてよく振り、完成です
  5. 保存の際は冷蔵庫に入れます

 

注意事項
  • 容器に成分などを入れる前に、一度精製水を入れてよく振り、水を捨て容器内を綺麗にします。
  • ビタミンC誘導体は必ずパウダー状のものを使用します。購入するビタミンC誘導体はイオン化する「パルミチン酸リン酸アスコルビル3NA(APPS)」、「リン酸アスコビル3NA」、「リン酸アスコビルMg」のうちどれかです。おすすめはパルミチン酸リン酸アスコルビル3NAです。
  • 精製水50ml、ビタミンC誘導体1.5g、グリセリン3~5gで出来るビタミンC誘導体の濃度は約3%です。濃度が高すぎると刺激が出るため、最初はこれくらいの濃度から始めてみます。
  • 作る化粧水の量は2週間以内に使い切れるくらいが適切です。防腐剤など一切使用していないので劣化が早いためです。

 

イオン導入 手作り化粧水

イオン導入の際は必ず事前にクレンジングでお化粧を落とし、洗顔をして汚れも落としておきます。お化粧や汚れがあるとこれが皮膚表面で膜になってしまい、成分を皮膚に浸透させることができなくなります。

導入の頻度はいくら多くても2週間に3回に止めます。また、イオン導入から次のイオン導入までは4日以上は開けましょう。肌に微弱な電気を通すことは通常ありえない現象で、痛みを感じなくても肌に負担になっているためです。

イオン導入後に他の化粧品を使用しても問題ありません。ビタミンC誘導体により肌の水分が少し飛んでしまうこともありますので、少し乾燥が気になる場合はセラミド、グリセリン、ヒアルロン酸と言った保湿成分を使用します。

 

イオン導入OKの化粧水一覧

APPS TPNA ローション

イオン導入の成分と言えばビタミンC誘導体ですが、せっかくならビタミンC誘導体の中でも最も効果の高いAPPS(アプレシエ)を高濃度で配合している化粧水が最も適切です。

市販で家庭用イオン導入機に適した化粧水はその導入機の購入元でなければ販売していないケースが多いですが、ここでご紹介する化粧水は通常通り手の平で付けることも可能、イオン導入用化粧水として使用することも可能です。

 

beauty mall ビタミンC誘導体

BEAUTY MALLの化粧品はビタミンC誘導体配合(アプレシエ)のものとしての品質は最高レベルですし、何よりも余計な成分が入っていないのでイオン導入にも使える点が素晴らしいです。

商品説明の欄に『イオン導入可能です!』と書いているものならばその用途で使っても大丈夫ですので、手持ちのイオン導入用化粧水がなくなった or おすすめのものを探している方はぜひ試してみてください。

イオン導入用でなくても、通常の化粧品としても高品質なので普段使用するもの自体を迷っている方にもおすすめです。

 

 

※タイトジャンクション:表皮細胞のをベルト状にがっちりと絞める接着装置で、細胞の隙間を完全に防いで異物が侵入するのを防ぎ、同時に肌奥の必要成分が逃げてしまうのを防止します。