シリコンバッグ

豊胸の中で最も歴史が古いのがシリコンバッグの挿入です。人工化合物のシリコンを胸に挿入することで底上げするような形で内側からサイズアップを図り、脂肪注入やヒアルロン酸注入に比べてより確実な方法です。

豊胸が行われだしたのは1950年頃で当時はまだインプラント(豊胸のためのバッグ)の強度や感触は問題が多かったですが、今日ではそれらの様々な問題点を改善したシリコンバッグが出来上がりより自然さを追及したものが使われています。

歴史が長くやインプラントの改善などが多く行われた豊胸術であるためシリコンバッグの種類や挿入方法などは非常に多いです。美容医療業界ではその院独自の方法で行うものまであり、今現在も手法は進化し続けていると言えます。

 

もちろんどこの医療機関でも行われている一般的なシリコンバッグ豊胸もあり、基本的には挿入するシリコンの違いによって形や感触、ダウンタイムなどが変化します。またシリコンだけでなく挿入(切開)、アフターケアにもいくつか種類があります。

ここではそれらの一般的なシリコンバッグの豊胸術とシリコン自体の種類をご紹介したいと思います。そしてその種類によって出来上がりはどのように違うのか、必要になるアフターケアはどのようなものかもお伝えします。

 

シリコンバッグの施術

豊胸 施術

シリコンバッグはご存知のようにシリコンを胸部に入れる必要があるため切開してそれを挿入します。切開する個所は胸に直接ではなく脇で、ここからインプラントを挿入することで胸表面を傷つけることなく豊胸します。

手術中は麻酔を使用するので痛みを感じず、使用するものも院によっては硬膜外麻酔なので起きている状態で胸のサイズを確認することができます。術後に痛みが出る場合がありますが通常痛み止めの鎮痛剤を処方してもらえます。

 

シリコンバッグの種類

シリコンバッグの要素は「形状、シェル(外膜)、内容物(バッグ)」の3つに分けることができます。それら3つの組み合わせ方で各メーカーが様々なシリコンバッグを作ります。では、それぞれの要素にはどんな種類があるのか

見ていきます。

 

形状

シリコンバッグは胸に入れるものなので形状が胸に沿った形のものでなければなりません。形状はお椀型のラウンドタイプと雫の形をしたアナトミカルタイプ、そして円錐形のコニカルタイプの3つに分けられます。

 

ラウンドタイプは形に規則性が保たれているため内部のシリコンを比較的柔らかく作ることができるため感触や横になった時の動きによく順応します。しかしやせ形でもともと胸が小さい方の場合、胸上部でシリコンの形状が浮き出てしまうことがあります。

アナトミカルタイプは女性の胸の自然な形に沿って作られているため、痩せ型の方が挿入してもラウンドタイプの様に形が浮き出るといった事例が出にくいです。ただし雫の形を維持のために作りが少し硬く、横になった時にその形が出てしまうことがあります。

コニカルタイプはお椀の凸部分をさらに大きくしたようなもので、大幅なサイズアップを希望する方向けです。シリコン自体が大きいため直立の姿勢でもその形が出てしまうことがあるので、脂肪注入と合わせたハイブリットの豊胸で使用するのが適切です。

 

最近では仰向けになっている時はお椀型のラウンドタイプになり起きている時は雫型のアナトミカルタイプになるという、その時の姿勢と胸の動きに合わせて形が変化するもの(エンジェルバッグ等)を使用することがほとんどです。

豊胸で尚且つバストの形も希望したい方はラウンドタイプやアナトミカルタイプを選択し、自然さを求める方は変形型のバッグを希望するといいでしょう。

 

シェル(外膜)

シェルはシリコンの表面部分のことで外膜とも言い、スムースタイプとテクスチャードタイプの2種類に分けられます。シェルは形状のように胸の形には直接影響しませんが、挿入後に内部で止まるにあたり違いが出ます。

 

カプセル拘縮

ヒトの身体は体内に異物が侵入するとそれを撃退する命令を出します。シリコンバッグもその対象になり挿入後はそれに対して被膜を作って圧縮をかけてしまいます。これによりシリコンバッグが将来的に硬くなることがあります。

カプセル拘縮を回避することはシリコンバッグのシェルを素質を変えることにより可能だとされています。(実際はシェルによって感じ方が違うだけのようです。)つまり、スムースタイプとテクスチャードタイプではカプセル拘縮に対する働きが違うのです。

 

スムースタイプはシェルがツルツルの状態なので挿入後に胸内部で姿勢に合わせて動きます。動きを出すことで自然な胸のように横に寝そべれば横に垂れ下がる、仰向けになればやや上に動くという具合になります。

しかし表面がツルツルで平らなせいかカプセル拘縮が起こりやすく、それまで柔らかさがあったシリコンが固くなり、動いたときも違和感を感じるようになります。これを防ぐために術後3~6か月ほどはマッサージによってそれを予防・解消します。

一方テクスチャードタイプは真逆でシェルがザラザラに加工されており、姿勢に合わせて胸内部で動くことがありません。そのためもともと脂肪が少ない方がテクスチャードタイプで豊胸すると、姿勢によっては形に不自然さが出ます。

テクスチャードタイプはカプセル拘縮の心配がなく術後のマッサージが不要と言われていますが、実際はカプセル拘縮が起こっているものの最初から胸内部で動かないタイプなので拘縮を感じにくいというだけです。

 

カプセル拘縮が起こることによって胸の組織に悪影響を及ぼすことはありません。しかし自然な触り心地を求めるならカプセル拘縮を予防するのが一番です。そのためテクスチャードタイプを使用しても若干のマッサージを行った方がいいでしょう。

 

内容物(バッグ)

中身の素材はバッグと呼ばれており、その種類はいくつかありますが今日使用されているものはほとんど決まっています。万が一胸内部で損傷した場合でも安全性を確保できる内容物を使用したバッグを使うのが基本です。

  • 生理食塩水バッグ
  • CMCジェルバッグ
  • ハイドロジェルバッグ
  • シリコンジェルバッグ
  • コヒーシブシリコンバッグ

生理食塩水、CMCジェル、ハイドロジェルの3つはいずれも生理食塩水(体液に似た食塩水)を混合しており自然な感触は期待できますが、シリコンが破損した場合に生理食塩水を体内に吸収してしまうことや安全性の点からあまり使用されていません。

現在バッグで主流になっているのはシリコンジェルとコヒーシブシリコンです。シリコンジェルは1990年代の初頭に米国のFAD(日本の厚生労働省に当たる機関)から使用中止を勧告されていましたが、現在では安全性が認められています。

 

シリコンジェルバッグはその名の通りシリコンのジェルで出来たもので生理食塩水などは使用されておらず、万が一シェルが損傷してバッグが漏れ出たとしても内部で散らばることがなく、また体内に吸収されることもありません。

安全性とジェルの凝固具合については確保されていますがシリコンジェルで作られているため感触が固く、まるで鉛を胸に入れているような感覚なので自然な触り心地を求める方には少し不向きかもしれません。

 

今やほとんどのクリニックで使用されているコヒーシブシリコンは拡散しないという意味で名づけられ、シリコンジェルと同様に体内吸収されず、安全性も高くMentor社(米)製のコヒーシブシリコンバッグはFADの承認も得ているほどです。

コヒーシブシリコンも元はシリコンなのでその感触が少し硬いのが欠点でした。しかし現在はそれを改良して柔らかさを追求したソフトコヒーシブシリコンが開発され、安全性と感触の両方で優れたバッグになりました。

バッグがシリコンのものと言えば今日ではコヒーシブシリコンのことを指すので、「シリコンジェルバッグ」もこのソフトコヒーシブシリコンを指すことが多いようです。

 

感触を重視するなら

豊胸 感触

シリコンバッグ豊胸で感触を重視するならやはりバッグを注目すべきで、ソフトコヒーシブシリコンのものを挿入するのが一番でしょう。ソフトコヒーシブシリコンはいくつかありますがFADの承認を受けているのは以下です。

  • バイオセルバッグ(アラガン社製)
  • メモリージェルバッグ(メンター社製)
  • Motivaエルゴノミックス(Establishment Labs社製):FDAの認可を受けたNuSil社製コヒーシブシリコンを使用

バイオセルバッグとメモリージェルバッグはスムースタイプとテクスチャードタイプの両方がありますが、院によっては片方しか置いてないことがあります。Motivaはそのタイプのちょうど中間をとったスムースシルク加工で動きと拘縮防止の両方に優れています。

Motivaエルゴノミックス自体はまだFADの承認を受けていませんがシリコン自体が認可を受けているので安全性は上記2つと同じく高いと言えます。安全性と自然な感触を希望する方はこれら3つのどれかを希望してみましょう。

 

シリコンバッグのサイズアップ目安

シリコンバッグをどれくらい挿入すればどの程度のサイズアップができるのかですが、入れるシリコンや元々の胸の大きさによって若干違うものの片側100ccで肩胸1カップアップです。片側200ccで肩胸2カップアップ、300ccで3アップです。

脂肪注入やヒアルロン酸注入に比べて大幅なサイズアップが可能です。しかし最近はサイズアップはしたいけども知り合いにバレるほど大きくはしたくない方もおられ、およそ1~1.5カップアップを希望される方が多いです。

また、あまりにサイズアップしすぎると皮膚が張って痛みが強く出たりシリコンによる重みを感じたりします。したがってあまり極端なサイズアップはせず、大きくするにしても2カップくらいに止めるのが適切です。