わきが

脱毛サロンや美容クリニック側の立場になったときに、脱毛を希望する方を集めるために最も有効なキャンペーンは何かわかるでしょうか。おそらくそのキャンペーン狙いで脱毛に通い始める女性・男性は多いと思います。

そのキャンペーンとは、わき毛の脱毛です。女性は初夏から秋口にかけての暑い季節ではタンクトップやノースリーブの服を好みます。ファッションとして以外にも海や川にお出かけし水着を着るためムダ毛の処理は必須です。

男性ならともかく女性でわき毛ボーボーの状態を見せるのはさすがに恥ずかしく、処理の需要が多いのでキャンペーンを打つと人が集まりやすいのです。処理する側からしても、処理の範囲が狭いので低価格で打ち出すことができます。

 

そんな風にわき毛脱毛の需要は高いのですが、脱毛する上できになることもあるのは確かです。よく言われることの一つに「わき毛の脱毛をするとわきがになる」というウワサがあります。

おそらく毛自体は決して無駄なものではなく、身体を健康に保つために何らかの役割を果たしているのはご存じなのでしょう。それゆえ本来身体が持つ機能にダメージを与えることで、何かしらの問題(わきが)が起こってしまうのではないかと。

確かに人の身体の組織は内臓から毛ひとつにかけて無駄なものはありませんが、ここで取り上げている「わき毛の脱毛をするとわきがになる」は事実なのでしょうか。わきがや脱毛について詳しく見ていきたいと思います。

 

わきがになる原因

わきがになる原因というよりはそれがが起こるメカニズムの話になりますが、匂いの元になっているのは汗です。汗は皮膚の汗孔と言う場所と毛穴から出るもので、汗孔から汗を出す組織をエクリン腺、毛穴から汗を出す組織をアポクリン腺と言います。

このうちアポクリン腺は脇や陰部など、私達がなんとなく湿りやすいなと思っている個所に多く存在しており、性的な興奮やストレスなどの刺激によって分泌されます。一方エクリン腺から全身にあり気温や味覚(辛さ)によって分泌します。

 

わきがに大きく関係しているのはアポクリン腺ですが、ここから出る汗が最初から匂うわけではありません。同じく毛穴から分泌される皮脂と混じって出てくるものなので多少の匂いはありますが、ほとんど気づかない程度です。

少し話がそれますが、このアポクリン腺から出る汗にはフェロモン作用があると言われていますが真実は謎です。性的興奮や緊張などのストレスから分泌される汗ですのでそういう一面もあっても面白いなとは思います。

 

常在菌によって匂いを放つ

ヒトの肌にはもともと住み着いており、普段は私達の肌の健康を保ってくれている常在菌というものが存在しています。馴染みのあり菌で言うとニキビの原因で有名なアクネ菌や、アトピーに関係している黄色ブドウ球菌などです。

汗はエクリン腺から出されようとアポクリン腺から出されようと基本的に最初は無臭です。しかし分泌された汗を皮膚にいる常在菌が分解することでわきがの匂いが発生するのです。またコリネバクテリウムキセロシスという菌も関係しています。

アポクリン腺や常在菌は誰にでもあるものなのですが、わきがになる人はアポクリン腺やC. キセロシスが多いか、常在菌による分解活動が活発化か、あるいはその両方だと言えます。ちなみに「ただの汗の匂い≠わきが」です。

 

 

脱毛によって起こるリスク

わきが 匂い

わきがについて学んだところで、今度は脱毛した後に毛穴では何が起こるのかをお話しします。これを理解すればわき毛の脱毛とわきががどのように関係しているのかがわかります。

脱毛してしまえば当然毛は生えてこなくなり、望んでいたツルスベのお肌を手に入れることができます。しかしその一方、毛穴から出される皮脂は毛をつたって皮膚表面に出てきていましたが、それがなくなったことで一部毛穴に残ってしまいます。

毛穴に残った皮脂は再度毛が生成されるか私たちがニュルっと取り出さない限りなかなか出てきません。しかも毛がなくなってしまったので皮脂が大好きなアクネ菌などが簡単に侵入してしまい、ニキビや炎症の原因になります。

 

また匂いに関しても、皮脂が毛穴にたまりそのまま時間が経過することで酸化して匂いの元になります。特に石鹸やデオドラントスプレーの成分を取り込んで酸化すると匂いだけでなく毛穴そのものが広がってしまうリスクもあります。

ただし、皮脂の酸化や蓄積で匂いは発生するもののそれは酸化した皮脂自体の匂いで「わきが」とは関係ありません。なぜなら「皮脂の匂い=わきが」ではなく、常在菌やC. キセロシスによって分解された物質の匂いがわきがだからです。

 

わき毛脱毛後に皮脂が気になったら

もしもわき毛脱毛をした後に毛穴がポッコリと出ていたり、きつくはないけどなんとなく匂いが気になるようでしたら皮脂の洗浄をしてみましょう。力を入れずにちょっと摘まむだけで皮脂の固まりが出てくるならその方法でも大丈夫です。

石鹸で集中的に洗うのも一つの手段ですがあまりゴシゴシと洗いすぎると皮膚がダメージを受けて黒ずみを発生させる原因にもなります。特に脇や肘など身体の折り目は日常生活で起こる摩擦によってメラニンが溜まりやすい場所です。

さらには皮脂は本来毛穴に多少あるのが通常ですので、完全に取ってしまおうと思わず気にならない程度に洗浄できたなと思ったらそれで十分だと理解しておきましょう。

 

 

結論:わき毛脱毛でわきがに・・・

ここまで見た2つを整理すると以下のようになります。

  • わきがの原因は常在菌やコリネバクテリウムキセロシスによって汗が分解されること
  • 脱毛によって皮脂が溜まるリスクもあるがそれ自体の匂いはわきがではない

つまり、わき毛を脱毛したからと言ってわきがになることは考えにくいです。毛穴に皮脂・汗が溜まって菌がそれを分解してわきがになるのではとも考えられますが、それでしたら脱毛しなくて既にわきがの可能性があります。

せっかく脱毛で綺麗になった脇でも、わきがなので人に近づきたくないという形になってしまっては美容も台無しです。わきがでなくても匂いは気になるものです。お出かけの際はデオドラント剤や抗菌作用のあるミョウバン水をうまくつかって匂い対策をしましょう。

 

「気にし過ぎ」がわきがの第一歩

ニベアクリームでお馴染みの製薬会社・花王さんが面白いレポートを出されています。

女性25名を対象に、ワキガ臭に対するメンタルストレスの影響を調べました。その結果、人前でクイズや計算をさせるなどのメンタルストレスを与えた日には、7割以上の被験者はワキのニオイが強くなりました。

ニオイが顕著に強くなった人を対象にワキガ臭の原因となる分泌物(3種類)の量を測定したところ、12人中10人は、メンタルストレスを付与しなかった日に比べ、ワキの下の分泌物の量が増加し、2~4倍近くに増えている人もいました。これらの結果から、メンタルストレスはワキガ臭を強くする原因の1つであることが分かりました。

さらに、硫黄臭の原因となる分泌物の量は、スパイシー臭の原因となる分泌物の1/100以下であり、全体の1%に満たない微量の物質がワキガ臭を特徴付けるニオイの原因となっていることが分かりました。また、硫黄臭の原因となる分泌物の量は、個人差が大きいことも分かりました。

ニュースリリース企業情報 発表資料:2007年3月8日|花王株式会社 より引用

ストレスとわきがの関係で分泌物に関して述べられていますが、もう少し長いスパンで言えばストレスによって善玉常在菌の数と力が減り、肌のトラブルなどを引き起こす有害菌が優勢になることも関係ありそうです。

つまり脇を出すことで匂いが気にならないかどうか心配になり日常的にストレスを感じると、ここで述べられている通り原因の分泌物が増えてそれを分解する菌の量も繁殖しやすい環境になってしまい悪循環に陥ると言うことです。

変にストレスを感じることはわきがだけでなく顔のお肌のトラブルや体内の健康状態にも大きく関わることですので不安になりすぎないことが一番です。「そもそも匂いのしない人間など変!」と割り切って過ごすのが最善の対策かもしれません。