永久脱毛

暑い季節になると露出の多い衣服を着るためそれに合わせて脱毛処理をする女性は多いのではないでしょうか。最近では脱毛サロンの知名度も非常に高くなっており、また料金も低価格で提供されているため通いやすくなりました。

ただその場合、いざ脱毛をしようと思いどこで脱毛すべきか調べると大きく2つの種類に分かれることがわかります。一つはエステやサロンで受ける脱毛と、もう一つは病院や美容外科、クリニックなどで受けられる脱毛です。

一見どちらの脱毛でもそこへ通い、専用の機器を使用して処理を行ってもらうことは同じですがその他にどのような違いがあるのかご存知でしょうか。ここではその違いについて説明し、あなたにとって適切なのはどちらかをお伝えします。

 

永久脱毛と永久減毛

永久脱毛と言えば脱毛処理をした個所から二度と毛が生えてこない脱毛をイメージすると思います。しかし実際に永久脱毛と呼ばれていても施術される内容は「永久減毛」が多く、永久的に生えてこない、二度と生えてこないの意味合いとは少し異なります。

  • 永久減毛とは

Permanent hair reduction is defined as the long-term, stable reduction in the number of hairs re-growing after a treatment regime, which may include several sessions.
引用元:Resources for You (Radiation-Emitting Products) > Laser Facts|U.S. Food and Drug Administration

FDA(アメリカ食品医薬品局のことで日本で言う厚生労働省)の定義によれば永久減毛とは「脱毛の施術後にいくつもの部位において非常に長い期間再生する毛の数が大いに減少すること」を言います。つまり短期間に再生する毛はほとんどなくなるもののほんの一部は再生すると言うことです。

「非常に長い期間」や「毛の数が大いに減少すること」というと少し曖昧な表現で具体的にどのくらいか気になります。これについても一応定義がありますが、毛の伸び方や成長スピードは部位や毛穴によっても異なるので一つの目安に過ぎません。

 

The number of hairs regrowing must be stable over time greater than the duration of the complete growth cycle of hair follicles, which varies from four to twelve months according to body location. 
引用元は上に同じ

再生するの毛の数は身体の部位によって異なる4~12か月の成長サイクルよりもかなり長い時間にわたり減毛した状態になければなりません。4~12か月以上再生しない毛の数は7、8割ほどになっているのが適切だとも言われています。

なので永久減毛は完全にすべての毛を毛穴からすっぽりと抜いてしまってツルツルにするのではなく、2、3割の毛は再生することを基準にして行われるものです。したがって永久というよりは半永久といった方がしっくりときます。

 

日本で言われる永久脱毛

さて、FDAでは永久減毛と定義されている脱毛処理は、日本においてはそれを「永久脱毛」と呼ぶ傾向にあるようです。これは永久減毛と呼ばなければならない決まりがないことや、減毛という言葉自体が私達にとってあまり馴染みのないものであるからでしょう。

そして先ほどの定義を見たように、ほとんどの毛は非常に長い期間再生しません。その人の体質によっては一度減毛処理を行えば二度と生えてこないこともあるようです。そういう意味では永久脱毛とも言えるので、馴染みのない永久減毛という言葉を使う必要がないのです。

 

永久脱毛できる施術方法

永久脱毛の仕組みを説明すると非常になるのでここでは割愛しますが、簡単に説明しておくと二度と毛が生えてこなくする「永久脱毛」のためには毛穴にある毛乳頭や皮脂腺開口等の組織を完全に破壊してしまわなければなりません。

それら組織を完全に破壊できる脱毛処理の方法は針(ニードル)脱毛だけです。針脱毛は毛穴に針を刺してそこへ電流や高周波を流すことにとによって直接ダメージを与えます。完全に毛穴組織が針に触れた状態で狙い撃ち、損傷させるので最も効果的な方法なのです。

 

しかし針脱毛は一本一本毛穴に針を通すので施術にかかる時間が膨大で何度も通院する必要があり、またそれにかかる費用も初診料、血液検査費、自分専用針の買い取り費用、軟膏代等があるので一般的に行われる脱毛処理よりもコストが大きいです。

そのため針脱毛は多くの人が選択する脱毛方法ではなく、近年は永久脱毛とほぼ同じ効果が期待できる医療レーザー脱毛の方がポピュラーです。針脱毛に比べ料金も安く済ませることができ、処理にかかる時間も非常に短いので効率が良いのです。

 

エステサロンか病院か

永久脱毛や永久減毛がどのようなものかはわかっていただけたと思います。これまで詳しくそれぞれの違いを述べましたが、一般的にはどちらもひっくるめて永久脱毛と呼ばれていますので、ここからはそのようにひっくるめて永久脱毛と呼んでいきます。

永久脱毛のためには毛穴組織の毛乳頭や皮脂腺開口などを破壊する必要があります。針に関しては直接それに触れさせてエネルギーを流し破壊、医療レーザーの場合は毛だけに熱を持たせることで毛に接しているそれら組織にダメージを与えて破壊します。

そのように乳頭などの毛穴組織にダメージを与えて毛を再生させない針脱毛や医療レーザー脱毛を受けるには脱毛(エステ)サロンか、病院や美容外科クリニックなどの医療機関かどちらに行くべきなのでしょうか。

 

毛穴組織の破壊は医行為

医師法第17条:医師でなければ、医業をなしてはならない。

医師法の中には上記のような記述があります。書いてある通りで医師以外の者は医業(機器や医薬品によって身体を傷つけたり改善させる医療行為を仕事にすること)をしてはならないと言うものです。これに違反すると違法行為になります。

永久脱毛ためには毛穴組織を破壊しなければなりません。脱毛処理は身体の問題(骨折など)を改善するための行為ではありませんが、美容目的で身体の一部を損傷させるわけですからこれも医療行為になり、医師以外のものが行うと違反です。

つまり針や医療レーザーによって組織を破壊する必要がある永久脱毛処理を、医師免許を持たず医業ではない脱毛エステサロンはすることができません。したがってエステサロンで行われる脱毛処理は永久脱毛ではありません。

なので永久脱毛をしたいと考えるのならば病院、美容外科、クリニックなどの医師が在籍している医療機関に通院するのが適切です。医療機関ならば針、医療レーザーだけでなく光(フラッシュ)で永久脱毛を目指せます。(ただしクリニックによって取扱いの有無があります)

 

脱毛処理に付き物な肌トラブル

脱毛処理 トラブル

何度も説明しているように永久脱毛のためには毛穴組織にダメージを与えなければなりません。そのため脱毛処理を受けた毛穴は損傷によって一時的に赤みを帯びたり毛穴の中で毛を包んでいる毛包が炎症を起こす毛包炎になることもあります。

これは病院や美容クリニックで行われる医療レーザー、ニードルに限らずエステサロンで使用するフラッシュ脱毛機器でも同じです。脱毛処理で肌トラブルが起こるかどうか、どの程度起こるのかは体質によって全く違うので一概には言えません。

 

本来エステサロンで行われるフラッシュ脱毛では処理による色素沈着や火傷などは起こってはいけないものです。なぜなら美容目的で身体に損傷を与えていいのは医療機関のみだからです。ニキビや毛包炎といった肌トラブルを起こすのもあまり好ましくはありません。

エステやサロンと言った医療機関ではないところでの脱毛で仮に肌トラブルが起こった場合はその場で診療してもらえず、通常は提携している医療機関を紹介されます。なので肌トラブルが起こってから診療まで時間がかかってしまうのです。

一方病院、美容外科クリニックでは医師が在籍しているので例えば炎症がひどい場合はすぐにその場で診療が受けられます。当然肌のトラブルの治療は早い越したことはありません。放っておくと本来治療によって治る症状も改善しにくくなってしまいます。

美容のために脱毛するにもかかわらずその処理によって余計に懸念材料が出てきてしまっては本末転倒です。そうならないためにも脱毛処理の前後に肌の具合をチェックしてもらえる医療機関の方が安心して施術を受けられるのは間違いありません。

 

永久脱毛の身体的リスク

永久脱毛することでその後はほとんど毛が生えてこないので楽な一方、毛穴組織の破壊によって起こるリスクもあります。そもそもヒトの身体の組織で無駄なものというのは一つもなく、毛乳頭や皮脂腺もちゃんと理由があって存在しているもです。

  • 乾燥のリスク
  • 皮膚疾患のリスク

 

永久脱毛のために破壊する必要がある皮脂腺は皮脂という脂を生成して、これを肌表面に送り出して汗と混ざることで皮脂膜になり、肌のバリアを生成して外部の菌から我々を守ると同時に角質層が持っている水分を逃さないようにするフタの役割を果たします。

皮脂膜の保湿作用は非常に優れており「天然の保湿クリーム」と言われるほどで、乳液タイプやクリームタイプの美容品の多くは皮脂膜の成分を参考にして作られています。健康な肌を維持するためには欠かせない機能なのです。

 

しかし脱毛処理により皮脂腺を再生不可能になるほど強いエネルギーで破壊してしまうとそれ以降皮脂が生成されなくなります。ということは肌を外敵からバリアする機能や肌が持っている水分を逃さないようにする機能を失うことになります。

それによって起こり得るのが乾燥肌です。それまで皮脂膜によって肌の水分が蒸発しなかったものが、フタがなくなってしまうことで当然水分は逃げていきます。脱毛処理が完了してから乾燥肌になったという話はよく聞きますがこれが原因なのです。

またバリア機能を失うことで一般細菌が付着しても撃退することができなくなり、皮脂膜の成分・脂肪酸によって繁殖が抑えられていた黄色ブドウ球菌が増殖してしまうため皮膚疾患(皮脂欠乏性皮膚炎や皮膚感染症)のリスクも高くなります。

 

永久減毛が適切

以上のリスクを考えると脱毛するものの一部毛穴組織の機能は残して起きたいのが本音です。あるいは一定期間組織が破壊された状態でも、またそれらが再生して毛が生え、生えてくる毛も従来よりは薄くなっていることが望まれます。

確かに永久脱毛をして二度と毛が生えてこなくなるのは処理面だけを考えられば非常にありがたいことです。しかしそれと同時に自分が気づいていないところで大いに活躍していてくれた機能を失ってしまうことにもなるのです。

 

脱毛と生理的な機能の両方を考えるなら、長い期間毛が再生しないけれどまたいずれ産毛として生えることが期待できる永久減毛が適切と言えます。そして脱毛の状態、肌の状態をしっかりとケアしてもらえる病院や美容外科で処理を受けるのが正しい選択です。