FAGA 女性 薄毛 抜け毛

女性も男性も髪にボリュームがなくなると薄毛の不安にかられ、自分がFAGA(AGA)になっているのではないかと悩みを抱えるでしょう。

産後ママの中にも明らかに髪の毛が薄くなっている方を見かけることがあり、薄毛は何も年齢を重ねることによるものではないことがわかります。若いのに髪の毛が薄いと何だかはつらつと見えません。

薄毛や抜け毛には様々な原因があり、改善方法は様々です。今回は意外とたくさんの女性が悩んでいる薄毛・抜け毛の原因や対処法についてご紹介します。

髪1本を作るには18の成分が必要

髪の毛は実は皮膚の付属器官で髪の毛だけでなく体毛や爪などもこれ仲間でケラチンというタンパク質からできています。タンパク質とはアミノ酸の集合体で、もちろんケラチンタンパク質もアミノ酸の結合により出来ており、なんと18種類ものアミノ酸が集合しているのです。

シスチン 16% 含硫アミノ酸でコレステロール増加の抑制など
グルタミン酸 14.8% 脳の活性化やアンモニア(尿)の排出など
アルギニン 9.6% 疲労回復、成長ホルモンの分泌、血管のアンチエイジング効果
グリシン 9.5% 皮膚内のコラーゲン生成や不眠改善など
ロイシン 9.1% 筋肉の生成・修復や肝臓機能の向上
アスパラギン酸 8.0% スタミナ強化やアンモニア(尿)の排出など
セリン 7.6% 肌の潤いを保つ天然保湿因子であり脳の活性化も
スレオニン 7.2% コラーゲン生成時の材料、ターンオーバーの促進
バリン 4.7% スタミナ強化や筋肉の増強
アラニン 4.0% 肝臓の機能の向上、脂肪分解の促進、スタミナ強化など
プロリン 3.7% 脂肪分解の促進、コラーゲン生成時の材料として
チロシン 3.1% ターンオーバーの促進や自律神経の調整によるうつ状態の改善など
フェニルアラニン 2.7% 抗うつ効果や脳機能の活性化
リジン 2.6% 疲労回復や肝臓機能
イソロイシン 2.2% 筋肉の増強や脳機能の活性化、血管の拡張や成長ホルモンの分泌
メチオニン 1.0% 肝臓機能の向上、抗うつ作用
ヒスチジン 0.9% 脂肪の燃焼、神経機能や性的エネルギーの促進
トリプトファン 0.7% 成長ホルモンの分泌、睡眠促進

太字で示したものは食事によって補わなければならない必須アミノ酸で、それ以外のものは体内で合成が可能な非必須アミノ酸です。もちろん非必須アミノさんだからと言って不必要なわけではありません。

髪の生成以外にも上記の表に記したような作用があり、そしてこれらの成分だけで髪が作られるのではなくその生成過程においてはこれ以外のビタミン、ホルモンなどが関わっており、髪1本生成されるのに非常に複雑な工程になっています。

これら18の成分がそれぞれ体内で作用してケラチンたんぱく質に合成され、髪の毛へと変化いくのです。

これら18の成分が体内に運ばれてor合成され、血管・毛細血管を通って運ばれた栄養素が毛乳頭へと渡り、毛穴組織の中で毛母細胞が作られると細胞分裂が始まり、そして角化して硬くて頑丈な髪の毛が作られます。

ちなみに角化され出来上がった「髪」は既に完成形であり、ここから髪自体が栄養を補って艶やかになるといったことはありません。シリコンなどによってそのように見せかけることは可能ですが、完成形の髪はすでに死んでしまった細胞なのでこれに栄養を与えることは非常に困難です。

生きているのはあくまでも髪を生成している部分の毛根にある組織(毛乳頭や皮脂腺など)だけなのです。

 

毛周期(ヘアサイクル)

髪の毛にも寿命あり、専門用語ではこれを毛周期と言います。毛周期の1サイクル(始め~終わりまで)は男性で2~4年、女性は4年~6年と言われています。

毛周期には

  1. 成長期
  2. 退行期
  3. 休止期

の3つがあり、中にはさらに細分化して『前期成長期、後期成長期』『前期休止期、後期休止期』という具合に分けることがありますが、いずれにせよ大きく髪は『成長期→退行期→休止期』の順でサイクルします。

ちなみに紙以外の体毛のサイクルは1~2年ほどと言われており、全身脱毛のように毛を処理する場合は成長期にある毛のみにうまく反応し脱毛効果が得られます。成長期、退行期、休止期には以下の特徴があります。

1.成長期

成長期は髪の毛の生成も含んでおり、毛細血管からホルモンを受容した毛乳頭が毛母細胞(髪の種)に対して細胞分裂を行うように命令を出します。命令をうけた毛母細胞はその通りに細胞分裂を繰り返し、そして色を与えて徐々に角化していきます。

この際毛乳頭付近は角化せずに柔らかいままで、これよりも少し上の部分だけが角化して硬い髪へと変化していきます。例えば髪を抜いたとき根元は丸いプニプニとした状態になっていますが、この部分が「毛球」であり角化していない個所なのです。

このように毛穴で髪の毛を作る時だけでなく、髪の毛を成長させる・伸ばし続けている時も常に血中から酸素や栄養素を受けて細胞分裂を繰り返しています。細胞分裂による髪の成長速度は、1日0.03~0.35mmと言われており、1ヵ月で約1cm伸びる計算です。

健常な頭皮では現在生えている髪の8~9割が成長期であると言われています。長さで言えば毛周期の中で成長期は最も長く(女性の方が長い)、毛周期1サイクルの9割近くを占めています。そしてその成長期の期間が短くなってしまうのが「AGA(男性型脱毛症)」で遺伝やホルモンが原因とされています。

2.退行期

退行期に入ると毛乳頭付近では髪に色を付ける作業が停止された後に細胞分裂や角化も徐々に停止していき髪の成長がほぼなくなります。言わばここで一旦店じまいを始め、店内で片付けが始められた状態です。

そしてお店の入り口を絞めるように毛穴自体も狭くなり、毛乳頭にぴったりとくっついていた毛球部分も徐々に小さくなっていきます。ただしまだ毛穴から髪が抜け落ちず、しっかりと毛根にある状態です。

退行期の期間は男女ともにほとんど差がなく2週間前後と言われており、毛周期全体の1%ほどの期間です。

3.休止期

休止期になると細胞分裂も完全に停止して髪の成長がストップします。休止期では毛乳頭から毛球が完全に離れた状態ですので毛が伸びることはなく、約2週間~3か月ほどで毛根にある毛は抜け落ちます。

ただ、抜け落ちたからと言ってこれ以降生えてこないわけではなく、およそ3か月ほど経過したのちにまた成長期を迎えます。頭皮全体で休止期にある毛穴は1割ほどと言われており、毛はなくても毛乳頭などで発毛の準備がなされています。

再度成長期へ

そしてまた成長期を迎えて毛乳頭が毛母細胞に細胞分裂の命令を出し、髪が伸びていき・・・と言う具合になります。

FAGAは成長期の短縮で起こる

今見たように正常なヘアサイクルは6年ほどで、女性のそれは男性よりも長いとされています。しかしヘアサイクルの中で最も長い成長期が短くなってしまうことでFAGA(女性男性型脱毛症)が起こり、AGA(男性型脱毛症)とほぼ同じメカニズムです。

ただ、メカニズムは同じでもFAGAの原因や症状は男性型脱毛症とは少し異なります。

 

FAGAとはどんな特徴か

AGAは髪の生え際や額、頭頂部の髪の毛が薄くなり、髪の毛が抜けてしまいそれ以降生えてこない症状です。一方FAGAは男性型脱毛症と同じように部分的な抜け毛もありますが、それプラス毛が細くなり薄く見える症状です。

女性はヘアスタイル的に髪を伸ばす傾向にあり、毛が顔にかからないように頭頂部で分け目を作ることが多いです。健常な頭皮ならばそのような分け目も薄毛としてとらえられることはありませんが、FAGAにより髪が細くなるとたとえ量が減っていなくても「はげ」が出来ているように見えてしまいます。

また抜け毛が表われる個所は男性と同じように前頭部・頭頂部が挙げられますが、FAGAの場合はこれ以外にも後頭部や側頭部などにもその症状が表われ、全体的に万遍なく抜け毛が発生する特徴があります。

FAGA
AGA
抜け毛 少しあり あり
抜け毛の発生部分 前頭部・頭頂部・後頭部・側頭部など全体的 主に前頭部・頭頂部
抜け毛以外の症状 軟毛化(細くなる) 軟毛化や発毛しなくなる

さらにFAGAの特徴はルードヴィヒ分類(Ludwig Classification)と言う方法でⅠ型~Ⅴ型まで分けられており、これはAGAハミルトン・ノーウッド分類の女性バージョンのようなものです。

  • Ⅰ型:顔の中央、前頭部から頭頂部にかけて薄毛
  • Ⅱ型:Ⅰ型と同じ範囲で、その範囲(幅)が少し広め
  • Ⅲ型:AGAと同じように頭頂部を中心に、前頭部から薄毛が進行
  • Ⅳ型:毛包が破壊されて発毛しなくなった瘢痕性(はんこんせい)脱毛症
  • Ⅴ型:薬やホルモン分泌の乱れにより起こる症状

 

5つの分類があるもののその見極めにはAGA・FAGA専門医の診断が必要です。特にⅠ型~Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の抜け毛の要因とその治療方法は異なりますので、医療機関での診断と適切な治療を受けましょう。

FAGAの原因・ホルモン編

FAGAの原因のひとつにホルモンが挙げられます。ホルモンには男性ホルモンと女性ホルモンがあり、それぞれ男性女性特有のものではなく男性にも女性ホルモンが、女性にも男性ホルモンが分泌されています(分泌量は異なります)。

特に薄毛・抜け毛に関係しているホルモンは男性ホルモンではDHT(ジヒドロテストステロン)、女性ホルモンではエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)と言われています。男性の薄毛部分等には男性ホルモンのDHTが多くみられ、このジヒドロテストステロンが髪の毛のヘアサイクルの周期を短くする原因になっています。

では、ホルモンが一体どのようにFAGAに関係しているのでしょうか。

抜け毛を引き起こす男性ホルモン

TVコマーシャルなどで薄毛・抜け毛についてみているとその原因は毛穴の詰まりにあると言われているのを見かけますが、実はそれよりもホルモンの影響が非常に大きいのです。中でも男性ホルモン「テストステロン」が大きく関係しています。

女性の体内で分泌されるテストステロンの割合は男性のそれに比べて約20分の1程度とされており、基本的に女性ホルモン優位な状態で保たれています。女性は男性よりも薄毛・抜け毛が起こりにくいのはこの女性ホルモン(エストロゲン)に発毛・育毛作用があるためです。

しかし何らかの原因によりエストロゲンの分泌が低下し相対的に体内の男性ホルモン量が多くなります(分泌低下の原因は後述)。もちろん男性ホルモンも身体を作る上で欠かせないホルモンですが、一方でFAGAを招きます。

抜け毛ホルモン:DHT(ジヒドロテストステロン)

抜け毛・薄毛は基本的に男性ホルモン(テストステロン)の作用によって起こります。女性ホルモンの代表格にはエストロゲンとプロゲステロンの2つがあり、このうちプロゲステロンは男性ホルモンのテストステロンにも変換されます。

女性の体内を流れるテストステロンは筋肉や骨格を作るなど生きていくうえで不可欠な働きをし、もしもこれが極端に減少するとそれらが生成されず、また精神面においては抑うつ感などを引き起こします。

しかし先ほどもお伝えしたように、テストステロンはFAGAの原因にもなるホルモンです。そしてこのテストステロンがそのまま頭皮で脱毛を引き起こすのではなく、様々な過程を踏んで抜け毛につながります。

 

テストステロンは血中からそれぞれの毛穴へと運ばれます。髪の毛穴にたどり着いたテストステロンは毛乳頭や皮脂腺付近にある5αリダクターゼという還元酵素と反応して「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されます。ちなみに「5αリダクターゼ」も「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2種類に分けられますがここではひとまとめにします。

このDHTがFAGAの主たる原因であり、AGAでも同じです。

変換されたDHTは毛乳頭やバルジ領域(皮脂腺付近)で作用して髪の生成過程を抑制します。DHTの作用を受けた毛穴では、成長期途中にある毛はその期間が短縮されてしまい、退行期や休止期にある毛穴では次の成長期に移る能力を抑えられてしまいます。

ただしDHTが作用するのはレセプター(受容体)、要はそれ専用の受け皿がある個所のみであり、レセプターが存在しない個所ではたとえDHTが出来てもその作用は受けないとされています。

男性の前頭部や頭頂部にはDHTのレセプターが多く存在しているためジヒドロテストステロンの作用を受けやすく、AGAの症状がこれらの部位で起こるのはそのためだと言われています。一方女性でFAGAが起こるケースでは頭皮全体的にレセプターが存在すると考えられます。

  • テストステロンが5αリダクターゼと結びつく
  • DHTに変換される
  • レセプターが存在する毛穴にDHTが作用する
  • 薄毛・抜け毛が増える

と言った順序でFAGAが起こります。繰り返しますがテストステロン自体は女性の身体でも必要不可欠なホルモンなので、FAGAの原因はDHTにあると言えます。(この他5αリダクターゼⅠ型、Ⅱ型、IGF-1やTGF-βなどの要素も関係があると言われていますがまだ研究段階です。)

FAGAの原因・身体の変化編

ホルモンによりFAGAが起こる原因がわかりましたので今度はなぜそのホルモンが増えるのか、身体がどのような状態の時にFAGAが起こりやすいのかを見ていきます。

女性で身体の変化に伴いホルモン分泌が大きく変わるのは思春期、妊娠・出産後、更年期の3つの時期です。このうち思春期でのホルモン量の変化は主に二次性徴に関係しており、薄毛・抜け毛につながることはほぼありません。

薄毛・抜け毛が起こり得るのは妊娠・出産後と更年期です。妊娠・出産後に薄毛になっている方はたまにおられる一方で、更年期にさしかかり髪のボリュームがなくなっている方は割と多めです。

妊娠・出産後と更年期の薄毛の原因何なのでしょうか。

FAGAになりやすい更年期

「更年期障害」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これはホルモン分泌量の低下とそのバランスの乱れにより起こります。女性の場合はエストロゲン、プロゲステロンの分泌量が低下しめまい、抑うつ感、食欲不振などを引き起こします。

エストロゲン 分泌量 年齢

こちらは年齢の経過とエストロゲンの分泌量増減を示したグラフです。

エストロゲンの分泌量は思春期から急激に増え、20歳前後をピークとしてそこから徐々に減っていきます。とはいっても20年ほどはまだまだ高い分泌量で、40代半ば以降それが急激に落ち始めます。

この落ち始める時期が更年期で、急激なホルモンバランスの変化により心身に不調が出る更年期障害が起こります。人によりその症状は異なりますが、大なり小なり何らかの症状が出るとされています。

 

更年期までの体内では女性ホルモンのエストロゲン優位な状況になっており、エストロゲンは男性ホルモンとは逆にヘアサイクルの成長期を伸ばしたり毛細細胞の発毛促進する効果があるとされています。

エストロゲンは髪以外にも肌を若々しくする作用などがあることから「美容ホルモン」と言われており、美しさには欠かせない女性ホルモンなのです。これが減少してしまうために今までのように髪や肌の綺麗さを維持できなくなります。

通常はエストロゲンが多く分泌されますが、更年期を迎えこの量が少なくなると体内の男性ホルモンの分泌量が相対的に増えてDHTの影響を受けやすくなります。その結果FAGAが起こるのです。

ただ、女性は男性よりも多くエストロゲンを分泌しているため一定の髪の毛の量は保たれており、AGAのように部分的に大量に毛が抜ける症状がなく全体的にボリュームがなくなるといった特徴が現れます。

妊娠・出産後の薄毛

実は妊娠中や出産後に起こる薄毛・抜け毛はFAGAではありません。この期間中の薄毛や抜け毛は「分娩(出産)後脱毛症」と呼ばれホルモンバランスの変化により起こるものですが、FAGAとは症状が少し異なります。

妊娠期間中の女性ホルモンの変動引用元:こころの情報局 すまいるナビゲーター

 

上のグラフは妊娠中と出産後の女性ホルモンの分泌量の変化を示したグラフです。ご覧のように分娩に近づくにつれて徐々にホルモン分泌量が多くなり、出産直後から急激にそれが減少します。

女性ホルモンの分泌量が減ること自体は更年期のそれと変わりありませんが、このケースでは出産後に妊娠以前の分泌量よりも少なくなるわけでなくその時の量とほぼ同じ程度にまで戻ります。

つまり急激にホルモン分泌量が減ることには変わりないものの、減った後以前と同じ程度に戻る(出産後)か戻らない(更年期)かの違いです。

 

分娩後脱毛症は基本的に出産後に起こるものとされています。妊娠中プロゲステロンが優位にある状況ですが出産と同時にそれの分泌量がエストロゲンと共に急激に落ちてしまい、エストロゲンの量よりも少なくなります。

この大幅なホルモンバランスの乱れにより一時的に男性ホルモンの影響を強く受けて薄毛・抜け毛が起こります。分娩後脱毛症は出産後1~2週間ほどで始まりますが、徐々にホルモンバランスが正常に戻り半年~1年ほどで髪が元の状態に戻るとされています。

出産後の薄毛は誰しもが発症するものではなく体質によるところもあります。また高齢出産の場合、分娩後の女性ホルモン低下と更年期による低下が重なり、1年以上経っても元に戻らないケースがあります。

妊娠中の薄毛もあり得る

さらに、分娩後脱毛症はその名の通り分娩後に起こるものですが、妊娠中に発症することもあります。【抜け毛ホルモン:DHT(ジヒドロテストステロン)】の個所でもお話ししたようにプロゲステロンは男性ホルモンにも変換されます。

本来は胎児や妊婦のために分泌されるプロゲステロンが男性ホルモンになり、これが5αリダクターゼと結びつきDHTに変わり脱毛を起こすことがあります。こちらも必ず発症するわけではなく体質によります。

もちろんホルモンバランスが元に戻れば髪は半年~1年ほどで回復します。

 

このように、妊娠中・出産後の薄毛はFAGAと同じような特徴や症状がありますが、それとはまったく別のものですので治療や診断を受ける際は必ず妊娠や出産した旨を伝えましょう。

妊娠中、出産後の授乳中は薄毛治療の薬を服用することはできず、症状が顕著になってからすぐに治療が開始できません。ホルモンバランスだけでなく生活環境やストレスも大いに関係しますので、髪に変化が見られたらなるべく早く医師に相談することをおすすめします。

FAGAの原因・生活習慣編

ホルモンや身体の変化によりFAGAが起こることがわかり、今度は普段の生活習慣でFAGAの原因になり得ることをいくつか見ていきます。生活習慣の良し悪しがホルモン分泌などに関係しているので、心当たりがある方は改善しましょう。

ストレス

ここでいうストレスは不安や緊張といったものを指します。ヒトはストレスを受けると脳が副腎からアドレナリンを出すように、神経末端からノルアドレナリンを出すように命令します。

アドレナリンはよく耳にする言葉で興奮状態を引き起こす作用があり、ノルアドレナリンは交感神経(活発に活動するときに働く神経)を刺激し血管を収縮させます。この働きはストレスに対抗しようとするヒトの生理現象なのですが、結果として血管の収縮・高血圧を招いてしまいます。

血流が悪くなると髪の生成や成長に必要な栄養が行き届かなくなり発毛・育毛が阻害されます。

 

またストレスはホルモンバランスにも影響します。

通常、交感神経(活発に活動するときの神経)が常に活発ですと血管系や生殖器などの機能を調節している自律神経が疲れてしまうため、副交感神経(リラックス・休むときの神経)も同じように作用します。

しかしストレスが続く状態は常は交感神経が優位になっている状況で、身体をリラックスさせるための副交感神経が働きません。そうなると自律神経が支障をきたし(自律神経失調症)てしまいます。

自律神経は脳の視床下部という部分でコントロールされているものの相互に作用しており、一方が悪い影響を受けるともう片方にそれが伝わってしまいます。さら視床下部はホルモン分泌をつかさどる脳下垂体の調整も行っています。

少しややこしいですが、要は自律神経が不調になると視床下部や脳下垂体にも影響し結果としてホルモンバランスの乱れが起こるのです。

つまりストレスは血流を悪くするだけでなく自律神経にも影響を与え、ホルモン分泌量にも悪い影響を与えます。これにより正常な発毛・育毛が阻害されてFAGAにつながるのです。

睡眠不足

睡眠も女性ホルモンの分泌、ひいては薄毛・抜け毛にも関係しています。

睡眠は1サイクルでレム睡眠とノンレム睡眠の2つの状態を数回繰り返しており、レム睡眠は浅い眠りで身体は休まっているものの交感神経と副交感神経が不規則に変化しており、脳は記憶の整理や感情の処理を行い起きている状況です。

一方ノンレム睡眠時は深い眠りで副交感神経が優位になり大脳が休んでいる状況です。それゆえ呼吸や血流、脈拍が深く安定した状態になります。

こう見ると常にノンレム睡眠にあった方が良いように思いますが、ずっと副交感神経優位で脳が休まっている状況ではそもそも「起きる」ことができず、身体の活動自体に支障が出てしまうのでレム睡眠と交互に繰り返され「目覚め」に至ります。

睡眠が取れていれば上記のようにレム睡眠、ノンレム睡眠のサイクルで自律神経や脳が十分に休息を取り正常なホルモン分泌を行えますが、睡眠不足ではストレスの時と同じように自律神経やホルモンバランスの乱れが起こりFAGAの原因になります。

 

そして睡眠とホルモン分泌にも大いに関係があります。睡眠時には成長ホルモンが大量に分泌され、成長ホルモンは身体の疲労回復、ターンオーバーの促進など髪の毛や身体の成長に欠かせない役割を果たします。

よく『22時から2時の間はゴールデンタイムで美容にはこの時間帯の睡眠が必須』というのを聞いたことがあると思います。たしかに美容のために十分な睡眠は必要ですが、決して「22時から2時の間の睡眠」が重要なわけではありません。


引用元:アンファーからだエイジング

こちらは睡眠サイクルのレム睡眠・ノンレム睡眠と成長ホルモンの分泌量を表したグラフです。図の中でメラトニンと言うホルモンが記載してあり、これは睡眠と覚醒を調整するホルモンです。

ご覧のように睡眠に入りかけると同時にメラトニンが分泌され始めその作用を受けながらノンレム睡眠に入っていきます。ノンレム睡眠に入ったのを確認するようにして今後は成長ホルモンが大量に分泌され始めます。

おおよそ最初のノンレム睡眠、最初のレム睡眠、2回目のノンレム睡眠、2回目のレム睡眠の期間(時間にして3~4時間)に睡眠中の成長ホルモン分泌量のほとんどが出され、時間の経過とともに落ち着いていきます。

つまり発毛・育毛のために重要なのは22時から2時の間に寝ることではなく、睡眠に入ってから3~4時間熟睡することなのです。寝る時間帯はほとんど関係なく、睡眠の質を高くすることがFAGAの予防や改善につながるのです。

逆に睡眠不足、寝ても1、2時間ほどで目が覚めてしまうケースでは成長ホルモンが十分に分泌されず身体・自律神経・脳の疲労回復、代謝促進による発毛・育毛が行われないのでFAGAの原因になるのです。

無理な食事制限とダイエット

ダイエットを心掛ける女性は多いですが何事も無理は禁物です。特にダイエットと称して1日ほぼ何も食べなかったり、サプリメントや水分のみで済ますのはFAGAを自ら呼び起こしているといっても良いでしょう。

まず、無理な食事制限で薄毛につながる要因として挙げられるのは栄養不足です。最初に見た通り髪はケラチンたんぱく質、18種類ものアミノ酸を基に構成されています。これ以外にセラミド、コレステロール、脂肪酸なども髪の構成要員です。

18種のアミノ酸の表でも見たようにこの中には必須アミノ酸が存在し、必須アミノ酸はヒトの体内で生成することができないため食事にり摂取する必要があります。無理な食事制限はこれを摂らないことになり、髪の生成を自ら抑制しているのです。

例えサプリメントで必要栄養素を摂ったとしても、サプリメントで摂取した際の吸収率はあまり高くありません。例えばとある栄養素をサプリで10mg取り入れたとしても、実際の吸収量はそのうちの10%ほど、つまり1mgしか吸収できていないケースがよくあります。

栄養素の吸収は、それ単体を摂取しただけではうまく体内に吸収されずに排出されてしまいます。吸収効率を上げるにはその他の成分と同時に摂ることが必要で、やはり通常のバランスの良い食事で栄養を摂るに越したことはありません。

バランスの良い食事をして初めて健康な髪が作られるのです。

 

さらには食事制限には「我慢」がつきもので、この我慢がストレスへとつながります。ストレスによる影響は先ほどお話しした通りで、交感神経優位な状態が続き自律神経や脳下垂体に支障をきたし、ホルモン分泌に悪影響が出て薄毛などを引き起こします。

そもそもヒトは食事を摂ることによって副交感神経が働きます。副交感神経は口内や食道、胃、腸などの消化器官系を働かせ、そして同時にリラックス効果も与えます。食事をした後に眠気がくるのもこのためです。

つまり食事は副交感神経を働かせるので交感神経とのバランスを保ち、ひいては自律神経やホルモンバランスをも保ちます。正常なホルモンバンスの下で髪の生成が行われるので、無理なダイエットによるストレスはそれを阻害することになります。

 

このように無理な食事制限・ダイエットは栄養不足を引き起こし、さらにはストレスをも発生させます。栄養不足では髪の生成できず、空腹我慢のストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こします。

栄養不足とストレスの二重の要素で抜け毛が促進されてしまいますので、FAGA予防のためにも無理な食事制限とダイエットは避けましょう。

たばこ・お酒

たばこ

女性は更年期にはエストロゲンの分泌量がそれまでに比べて一気に減少します。しかし完全に分泌がなくなるわけではなく一定の量分泌し、さらにはこれまでとは違う過程で女性ホルモンを生成します。

エストロゲンは閉経までは主に卵巣において作られています。一方閉経後は副腎皮質(腎臓の上の部分にある副腎の皮質)から分泌される男性ホルモンを「アロマターゼ」という酵素の働きによってエストロゲンに変換させます。

この働きで閉経後も女性には一定量の女性ホルモンが分泌されホルモンバランスを保ち、男性ホルモンの割合をできるだけ抑えて薄毛や抜け毛が進行しない状態になるのです。

 

しかしたばこを吸うことで男性ホルモンを女性ホルモンに返還する作業が阻害されます。

たばこには交感神経を興奮させる作用を持つニコチンが含まれており、ニコチンは副作用の一つとしてアロマターゼの働きを阻害します。たばこによりアロマターゼの活動が抑制された体内では男性ホルモンから女性ホルモンへの変換作業が進まず、男性ホルモンの比率が増えてしまいます。

男性ホルモンが増えるとどのような事態に陥るかはこれまでお話しした通りです。ストレス解消のためたばこに走る女性もおられますが、FAGAを引き起こす要因でもあるのでなるべく控えたいものです。

お酒

お酒と肝臓は深い関わりがあることはご存知かと思います。

まず肝臓の働きについて、食事により取り込んだタンパク質は小腸でアミノ酸へと分解されて肝臓で貯蔵されます。そしてここでアミノ酸は身体の必要な部分のタンパク質へと形を変えて血中からその組織へと運ばれます。

要は、肝臓は髪の毛に必要な素材を取り入れて髪に必要な材料に加工し、これを頭皮に送る工場なのです。

しかしお酒の飲み過ぎはその働きを抑制します。飲酒で摂り入れたアルコールは肝臓で分解され、この分解時にアセトアルデヒドという物質が肝臓の細胞(肝細胞)を破壊してしまいます。

肝臓は取り入れたアルコールを全て分解できるまで働き続け、仮に大量に飲酒すればその分働き続けると同時にアセトアルデヒドを生成し肝細胞を傷つけることになります。その結果肝臓機能が低下し代謝異常が起こります。

機能が低下した肝臓では思うように髪に必要なタンパク質の合成ができず、これが薄毛・抜け毛・FAGAを引き起こします。

たばこと同じようにお酒もストレス発散の道具として活躍します。飲酒自体に問題はありませんが適量にすることが大切で、また『週に○日は休肝日』と言われている通りお酒を控える日を作り、髪の生成を頑張ってもらいましょう。

紫外線

紫外線も薄毛の原因の一つだと言われていますが、これまで挙げたものほど大きな要因にはなりません。そもそもヒトは紫外線を受けてもそれを除去するシステムが皮膚内に備わっています。

紫外線のUVAは波長が長く真皮層にまで到達し肌の潤いを保つヒアルロン酸やコラーゲンを破壊するとされ、UVBはUVAほど皮膚内に届かないものの皮膚表面で活性酸素を発生させると言われています。

ただしこのような紫外線の攻撃対策のために皮膚内ではメラニン色素を発生させます。皮膚でのメラニン色素はシミの原因として悪い目で見られることもありますが、本来は活性酸素の除去やバリアの機能をもち良い働きをするのです。

薄毛ほど紫外線の影響を受けやすい

髪の毛にもメラニン色素が多くあり、通常は毛が紫外線を吸収して皮膚まで届けない役割を果たします。しかしFAGAで毛が少なくなった状態ではそれが機能せずに頭皮に直接紫外線が届くことになります。

1日や2日紫外線を浴びた程度で薄毛は起こるものではありませんが、これが毎日長時間となると少なからず影響してくるのではないでしょうか。特に年齢を重ねて代謝が遅くなると悪玉を除去しきれず頭皮に溜まり抜け毛の原因になるかもしれません。

そのため薄毛が気になりだしたら、紫外線対策をしないよりはした方がいいでしょう。対策と言っても方法は限られており「帽子をかぶる・長時間紫外線を浴びるのを避ける」ができれば問題ありません。